以前、大学の講義を受講したことがあります。その時のテーマは、農作物を害虫から守る方法について。
講義によると、害虫から守るには、大きく分けて2つの方法があるそうです。
①遺伝子操作で、害虫耐性を持った種を作る。
②農薬をまく。
①は、葉っぱに害虫の消化器官を壊す遺伝子を作らせることで、それを食べた害虫の腸などの消化器を壊して駆除する方法です。
環境負荷は少ないですが、遺伝子操作された食物の安全性をどう確認するかが問題です。
②は現在主流の方法で、遺伝子操作は不要ですが、農薬は広範囲に散るため、環境負荷は大きくなります。
どちらの研究を進めるべきか総合的に判断して悩ましい。といった内容でした。
学問や研究をずっとやってきた先生方なので、純粋に学問上、どちらが良いかの判断が難しいんだと思います。
でもビジネスの視点から見ると、どちらを選ぶかは明らか。②で決まりです。
なぜでしょう?
例えば、①種を売り出した場合、1回買って蒔かれたら終わりです。毎年種を買うとしても1年に1回。
でも、②農薬の場合、 いろいろな害虫用に、 若葉、成長期、実を付けた時とかの各生長過程で売ることができます。もちろん散布の手間も考慮する必要はありますが。
視点や発想を変えると見える景色が変わる、というのはよくある事。
例えば、缶コーヒーがおいしくないのは多くの人が感じている事ですが、おいしくするためにドリップにすると、設備や掃除がコスト高で採算が合いません。
なので、がまんしておいしくない缶コーヒーを飲む時代が久しく続きましたが、
”お客さんに、注文から機械の掃除までやってもらう”、という一見あり得ない発想で、大当たりしたのがネスレのアンバサダーです。
自販機の補充・手入れは、コカコーラの制服を着たお兄さんが行うことに、何の疑問も感じなかった私には、コーヒーマシンの掃除を、客先のオフィスレディーが行う。と言う発想と、その実行力が今でも信じられません。
でも、開始5年後の2018年時点で、ネスカフェアンバサダーの登録者数は40万人を超えているそうで、オフィスに5人の利用者がいるとすると、200万人の利用者を獲得したことになります。
ネスレにはキットカットやクランチといったおやつのラインナップもあるので、働き方改革が追い風になって、日本にも北欧のフィーカのような習慣が根付くかもしれません。
つまりこの発想の転換が、日本のオフィス文化を変える可能性もあるわけです。
同じコミュニティーにずっといたら、違う視点でものを見たり、突飛な発想をする事は難しいと思うので、いろんな人と交流して、アンテナを高くしておくことが大事だと思います。