マンションクライシス。バブル期に建てられた分譲マンションはこれからどうなる?

以前、この記事で少し触れましたが、分譲マンションが、いよいよ社会問題化しそうなので、少し触れたいと思います。

私、実は宅建資格保有者で、自ら土地と建物を売買した事があり、この手の情報がどうも気になってしまうので調べてみると、国土交通省のHPにショッキングな資料が公開されているじゃないですか。

短い資料なので、すぐに読み切れるのですが、それも面倒な人のために、以下抜粋しました。ちなみにこれらが書かれているHPはここ

①住宅のストック数は、50年前から、常に世帯数を上回っている。
② 住宅は平均すると、築後約30年で滅失している。
③築30年以上の物件は、2020年には200万戸を超え、以降急速に増える。 

つまり一言でいうと、

供給過剰で余った住宅が耐用年数を超えたので、取り壊す必要があるが、それが200万戸もあってどうしよう?ってこと。

勘の良い人はお気づきかもしれませんが、30年前と言えばバブル後期。日本中に投資用マンションが建てられた時期です。

そのマンションが、のきなみ滅失に危機にあるということになります。

でもマンションってコンクリートで出来ていて、コンクリートって100年くらい持つんじゃないの?と思っている人も多いと思います。

確かにマンションは、言わばコンクリートの固まりです。そしてコンクリートの主成分は砂・砂利で、実はこの、砂・砂利が問題なんです。

50年くらい前までは、コンクリート用の砂・砂利は河川から調達していました。

しかし日本の高度成長時期にコンクリートが大量に必要となり、全国の河川の砂・砂利が採りつくされたことで川床が下がり、橋梁基礎がヤバいことになったり、河川の環境破壊が一気に進んだりしたため、それらの保護が必要になりました。

そこで当時の建設省が、全国の河川の川砂採取を禁止したんです。

そうなると、砂・砂利は海から採ってくるしかありません。(山砂は土が多くてコンクリートの骨材には適しません)

でも建物には、”鉄筋コンクリート造”と言われるように、コンクリートの中には鉄筋が入っているため、海の砂・砂利を使用すると塩の問題が出てきます。

コンクリートの劣化はまず、アルカリ骨材反応という、砂・砂利に含まれる成分と、ナトリウムやカリウムのイオンとの化学反応から始まります。

ナトリウムといえば・・・、塩ですね。

なので、海の砂は大量の水を掛けて除塩するのですが、抜けきらない塩分はどうしても残り、これが鉄筋に悪影響を与えるのです。

因みに以前問題になった、JR西日本の新幹線トンネルのコンクリート剥離事故、なぜ西日本ばかりに多いかというと、山陽新幹線のトンネルには、除塩した海砂が使用されているから。(海砂以外にも、施工規格の変更もあります)

東日本のトンネルは採取禁止前に作られたため川砂が用いられており、そのような事故はほとんどありません。

しかしバブル期に、日本中のマンション需要を支えるだけの海砂の量を、充分に除塩する能力や時間があったかどうか定かではありません。バブル期の手抜き工事は有名でしたし。

アルカリ骨材反応は早ければ、数年単位で進むといわれています。

コンクリートの早期劣化はマンションそのものの劣化なので、外壁や配管の劣化とは次元が異なるため、とても深刻です。

もちろん全てのマンションが、というわけではありませんが、相当数のマンションに問題があることは、livedoorニュースのこの記事、そして老朽化したマンションの建て替えが事実上不可能に近いことは、産経新聞のこの記事からも伺えます。(185万戸のうち、建て替えに至った物件は274件。つまり0.015%以下)

それでも中古マンションを購入したい人は、東洋経済ONLINEのこの記事にあるように、2004年前後の大規模修繕実施済マンションを選ぶ、というのが比較的無難なようです。

因みに私は、分譲マンションは絶対に買いません。

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