はやぶさ2が、今年の12月に地球に還ってきます。
還ってくるといっても、初代はやぶさのように大気圏で燃え尽きるのではなく、サンプルカプセルだけを地球に帰還させて、本体は、別の小惑星の探査に向かうというもの。
詳細はこのページで。
こんなことができるのも、イオンエンジンの燃料であるキセノンガスがまだ半分残っているからで、日本が誇るイオンエンジンの燃費の良さには、改めて感動を覚えます。
それに加え、人工衛星の姿勢制御に欠かせないリアクションホイールの飽和にも余裕がある証拠で、人工衛星のトータル性能とJAXAの姿勢制御技術のすばらしさを、改めて知らしめる快挙だと思います。
今回の最大のミッションは、初代はやぶさでは回収できなかった、まとまった量の岩石サンプルを得ること。
はやぶさ2は、人工のクレーターを作ることで、みごとこのミッションを達成したとみられています。
小惑星りゅうぐうの新鮮なサンプルを得るために打ち込んだ銅の弾丸は、JAXAの記事によると、質量2㎏、速度2㎞/秒というもの。
このエネルギーが、どの程度かを調べてみましょう。
Wikipediaのこのページに、「有名な火器と実包の、一般的なマズルエネルギー」というのがあります。その中に、M829砲弾(対戦車砲弾)というのがあり、質量10㎏、弾速は1600m/s とあります。
砲弾の運動エネルギーは、1/2mv^2なので、それぞれを比較すると、
はやぶさ2の弾丸 | 1/2×2000×(2000)^2= | 4000MJ(メガジュール) |
対戦車砲弾 | 1/2×10000×(1600)2= | 12800MJ |
つまり、はやぶさ2の弾丸の破壊力は対戦車砲弾の1/3程度あるということになります。
別の例えだと、44マグナム弾のエネルギーは、1/2×12×(470)^2=1.3MJ
4000÷1.3≒3000なので、はやぶさ2の弾丸は、44マグナム弾3000発以上のエネルギーを持つことになります。
しかも銅の弾丸を打ち込む際、被破壊物の飛び散った破片で人口衛星本体が傷付かないように、弾丸は被破壊物の近くに置いて、本体が被破壊物の影に退避した後にリモートで弾丸を発射するという、高度な作業にも成功しています。
このように、日本の宇宙開発技術はすばらしいの一言なのですが、以前この記事にも書いたとおり、海外のメディアにとってこれらの技術は脅威としか映っていません。
繰り返しになりますが、はやぶさの快挙は海外メディアの報道では、
「日本は、打ち上げに数日掛かる液体燃料ではなく、数時間で打ち上げ可能な純国産の固体燃料ロケットを用い、500㎏を超える弾道ミサイルを、7年半に渡って地球の周回軌道に投入し、誘導装置なしで誤差500m以内の好きな場所に落下させる技術を所持していることを証明した。」
です。これに、
弾丸発射装置を搭載した人工衛星は、敵国の軍事衛星を遠隔操作で木っ端みじんに破壊することができる。
ことが加わるのですから、穏やかではありません。
なんといっても小惑星りゅうぐうの表面に、深さ1m、直径10m以上のクレーターを形成させる破壊力に耐えられる人工衛星は存在しません。
JAXA内でクーデターが起きることは無いでしょうが、もし第3国に乗っ取られ、回収カプセルの代わりに何らかの兵器を積んで、複数個の弾丸を発射可能な改造をしたはやぶさ2が、地球の周回軌道に複数機打ち上げたら、事実上の世界征服ができることになります。