日本でも木造の高層ビルが実現します。

先月末、三井不動産と竹中工務店が、国内最高層の木造賃貸オフィスビルを2025年に完成させると発表しました。着工は2年後の2023年から。

場所は日本橋。東京駅の日本橋口から徒歩5分の距離です。

地上17階、高さ70mですから、かなり大きな高層木造物になります。

ちなみに2020年現在の世界一の木造ビルは、ノルウェーにある、18階建て高さ85mのもの。

オーストラリアにも多くの木造高層建築物がありますが、2025年には、地上180m 40階建ての大規模ビルが完成する予定だそう。

高層木造建築は、海外の方が進んでいるようです。 

日本では10年前の2010年に、公共建築物の木材利用促進の法律が施行されてから徐々に木造建築化が広がり、下写真のような、すばらしい図書館ができたりしています。(岐阜市立中央図書館)

https://gifumatic.com/2015/09/column-49/

この法律のおかげで、平成30年度の国土交通省の発表では、公共建築物の木造化率は90.6%に達しています。(国が整備を行った対象となる低層建築物)

それでも、木造高層建築物には建築基準法上の規制があって、なかなか建てられなかったのですが、2016年のCLTに関する建築基準法告示により、告示に基づく構造計算等を行うことで、大臣認定を個別に受けることなく、建築確認で建築が可能になりました。

また、今年令和2年の建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)によって、木材の見た目をそのまま外壁にできるようになったことで、今後一層の促進が見込まれます。

3階以下の建造物においても、耐火構造不要としたことで、より安価に木造建築が施行でき、賃貸マンション大手の大東建託が、本格的に木造賃貸マンションの販売を手掛けるようになりました。

上記大東建託のHPよれば、CLT材は、RC造(鉄筋コンクリート)と、同等以上のエアコン快適性が望めるとのこと。

現在、3階以下の事務所は圧倒的に鉄骨造が多いですが、鉄骨造は夏暑くて冬寒いため、建築コスト次第では、快適でおしゃれなCLT造に一気に流れが変わる可能性があります。

また、この記事にも書きましたが、近年のコンクリートには、骨材に向かない海砂が使われているため、建築物のCLT化は建物の寿命を延ばすことにもつながります。

日本は、国土の7割近くを森林が占める国。この森林資源を利用しない手はありませんが、以前のように安い輸入木材を導入するのでは、あまり意味がありません。

その点、CLTは加工工程が増えるため、原木調達から加工までを一か所の大規模工場で行うようにすれば、物流コストを大きく下げることが可能なので、国産の木材を使用しても採算が取れそうです。

北海道開発局資料のよると、現在の軸組工法と比べCLTパネル工法は、2割弱高いとのこと。

最近は、テレビでも、CLTに関する番組やニュースを目にするようになってきたので、一般的な認知度も上がりつつあるようです。

適切な補助金を導入して量産化を進め、CLTのコストダウンを図ることで大切です。

ちなみに、岡山県はCLTの利用が盛んで、真庭市に行けば、そこら中にCLT建造物を見ることができます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です