15年以上インターネットを使っている人の中には、Winnyという名前を聞いて、なつかしいと思う人もいると思います。
Winnyを知らない人のために簡単に説明すると、
Winnyとは、サーバに接続することなく、ネットにつながった個人間でデータのやりとり・共有をする画期的なP2Pソフト、です。
事の顛末は、こちら(Wikipedia)に記載されているので、なつかしいなあ、と思われる方は見てください。
この記載を読むと、「日本で画期的な技術を開発することは、つくづく大変な事なんだな」と思ってしまいます。
当時、Winnyの開発者が、著作権法違反ほう助で逮捕されたときに使われた比喩が、
「ものすごく良く切れる包丁を作ったら、包丁の使い方が下手なせいで指を切る人が続出したため、包丁を作った人が傷害罪のほう助で捕まったようなものだ。」というのがありました。
これは、ゲームソフトや映画を、Winnyを使ってインターネット上に公開していた人が、著作権法違反で逮捕されたあと、その逮捕者と全く面識のないWinnyの開発者まで逮捕されたことを例えて言ったものです。
つまり、ソフトウェアの開発自体に違法性があると疑われた刑事事件だったということです。
もしこれが認められていたら、LINEのチャットが原因で、誰かが殴り合いのケンカになった場合、LINEの開発者も傷害罪のほう助で逮捕されることになります。
なにせLINEには、Winnyと同じP2P技術が使われているので。
幸いというか当然、最高裁で無罪が確定しましたが、開発者はその2年後、急性心筋梗塞で亡くなってしまいました。
Winnyで使われたP2P技術は、今やLINEやSkype、ビットコインでも使われ、無くてはならない技術の1つになっています。
7年もの法廷での争いが、開発者の寿命を縮めたかどうかは判りませんが、日本が、”第2のサトシ ナカモト” を失ったことは確かです。
Winnyは、音楽や映画のネット配信サービスが無かった当時、違法コピーのやりとりに特化されて使用された事が悲劇の始まりでした。
今でこそ国は、AIやIoTの技術者育成に”やっき”になっていますが、15年前に、その先見の明が無かったことが悔やまれます。
ちなみに、弁護団は起訴された直後、2ちゃんねるなどのネット上で裁判費用を募り、わずか3週間で1600万円を集めました。
この出来事は、クラウドファンディングの先駆けだったと言われています。