新型コロナも、重症化予防の側面では、かなり落ち着きを取り戻し、ヨーロッパなどの諸外国も、マスク無しの生活に戻りつつあります。
2022年の年末年始も、新幹線/航空機とも、ほぼ満席状態で、国内移動に関しては8割方、コロナ以前の客足が戻ってきた感があり、徐々に以前の日常が戻りつつあります。
このまま徐々に、以前の日常には戻れるのでしょうか?
1年半前に書いた記事で、インペリアル・カレッジロンドンが予想した コロナの周期的な流行の予測グラフをご紹介しましたが、1年半たった今、実際の流行と見比べてみると、かなり正確に当たっていることに驚かされます。
下図の左が、1年半前にインペリアル・カレッジロンドンが予想したもの、右図が実際に流行したものです。
左図はICUの稼働数、右図は感染/死者数の推移なのですが、両者には一定の相関があると考えて良いと思います。
比べてみると、2020年3月のピークがずれている以外は、ほとんど同じ時期にピークがあります。
偶然にしては、あまりに精度良く合致しているのですが、何か理由があるのでしょうか?
実は、感染症の中には、流行周期が見られるものがあります。
インフルエンザのような季節性のものは当然、毎冬の周期がありますが、通年性でも同じように周期があるのです。
三重県が2003年に発表した、感染症の発生動向調査のPDFがとても分かりやすいのでご紹介しましょう。
ウィルスが原因の通年性の感染症である、水ぼうそう(水痘)と伝染性紅斑の周期グラフを以下に示します。
水痘はほぼ半年ごと、伝染性紅斑は4.5年ごとの周期性が確認できます。
新型コロナは、ほぼ4か月毎の周期があるように見えますが、国の緊急事態宣言などの発報タイミングによる人流の変化があるので、実際のところは何とも言えません。
ちなみに季節性の感染症であるインフルエンザは、↓のようなとてもわかりやすい形になります。
これは、現在の新型コロナの患者数よりかなり多いように見えますが、現在のような全員マスク着用や外出自粛などがない状態下なので、比較はできません。
厚労省では、強毒性の鳥インフルが、人から人へ感染するようになった場合など最悪の場合、17~64万人の死者が出ることを想定していますが、今回の新型コロナへの対処経験で、状況をシミュレーションできることは、大きな武器になると思います。
話を戻すと、わたしたちはすでに、”ウイズ・水痘”、”ウイズ・インフル” の状態であり、新型コロナとも、今後長い付き合いをしなければなりません。
幸い、新型コロナに関しては、予防は数種類のワクチン、診断は簡易検査やPCR検査、治療には経口薬や抗体カクテル療法といった複数多数の対策が確立されつつあります。
下水中の新型コロナウイルス濃度を調査すれば、流行開始の先行指数として、また、ピーク時期の先行指数としても利用できそうとの報告もあります。(AMED資料)
これらの状況を考慮すると、ウイズ・コロナも秒読み段階に入ったと考えて良いかもしれません。
現在、公共施設や大規模施設、病院、量販店には、画像認識機能付きのカメラタイプの体温計が入口にセットされています。
これは、防犯や行動解析の観点からも有用なため、今後、コンビニや飲食店にも広く展開されると予想されます。
もっと一般的に広まれば、家から一歩外に出たら、自分の行動パターンや体温などの情報は、全て社会の共有情報になる、という考えが定着するかもしれません。
そうなると、通常と異なる状態の人の発見も早まり、結局、早期発見/早期対応に結び付くでしょう。
国や地方公共団体には、それらの情報の有効活用方法と並行して、強毒性ウィルスの人から人への感染が起きた場合の対処方法と、新薬の開発体制の早期確立が望まれます。